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第17回年次大会(2007年)実施報告・発表概要

日 時:2007年3月10日(土)13:30~17:00

場 所:東京家政大学 120-7AB教室

〒173-8602 東京都板橋区加賀1-18-1 TEL 03(3961)5226

プログラム:

〈研究発表〉

総合司会:永谷万里雄(青山学院大学非常勤)

司  会:仙土真由美(帝京大学大学院博士課程修了)

★13:30~14:00

「憲法前文はなぜ宣言形式を仮定法現在と直説法に分けているのか」

谷澤 泰史(東海学園大学非常勤)

 法文書は和文・英文を問わず主観性を排除した文書である。しかし法文書作成者にある主観的な意図が存在した場合、特定の語法の取捨選択により「客観的であるはずの法文書にある暗示が加味されるのではないか」という仮説を立てた。本発表では日本国憲法とアメリカ合衆国憲法の前文を比較し「作成者の要求を表現する『仮定法現在』と事実を示す『直説法』及び「未来志向の『to不定詞』と受動的な『過去分詞構文』」という組み立てにより前文の意味している「国民の政治宣言」の形式と本質に焦点を当てた。

★14:00~14:30

「英和辞典の統語情報とその理論的説明」

木内  修(東洋大学非常勤)

 本発表では、英和辞典の記述レベルの現状を紹介し、また日本人にとって母語直感が働かない、前置詞や接続詞といった機能語に対して、従来以上にその多義性が納得いき、なおかつ使い分けが可能となるよう具体的な事例を挙げながら提案した。さらに、徒来の語義のネットワーク図だけでなく、当該の語の中核的意味からの理論的な流れを明示的に示す必要があることを主張した。

★14:30~15:00

「仮定法諸用法の名称に関する問題点」

野村 忠央(和光大学)

 本発表では中高の英語教育の現場や研究者間で用いられている「仮定法諸用法の名称」についての問題点を論じた。特に、相互に関連する用語―Mood, Modal, Modality―や英語の3つの法―Indicative, Imperative, Subjunctive―の日本語名称、“仮定法未来”という用語の妥当性、現代英語における仮定法の存在、「仮定法現在」という名称、などの諸問題を扱った。そして、本来は「学校文法で伝統的に言われてきたこと」と「(理論)言語学の最近の成果として正しいとされること」が一致するのが一番望ましいが、英語教育上、一致しない「方便」の教授法も否定されるべきではない、しかし、その場合でも教授者は言語学的に妥当な説明法の理解が望まれる、ということも主張した。

〈休 憩:15:00~15:10〉

★15:10~15:40

「辞書におけるarchaismの諸問題」

藤田 崇夫(浜松学院大学)

 英和辞典では時代的差異を表すラベルとして、一般に((廃語))、((古語))、((やや古語))、((古風))、((やや古風))、((旧式))などの表示が見られる。しかし、同じ項目でも辞書により古さの判断は微妙に異なる場合が少なくなく、古さの度合いを判定する場合の困難さが窺える。その主たる原因の一つは、英和辞書がその判定の際に依拠せざるを得ない英米の辞書そのものに揺れがあるからである。本発表では、特に学習用英和辞典の場合は多くのラベルは不要であり、廃語は別として、古語の類のラベルは例えば((古旧))など一つに統一することも考えられてよいことを論じた。

★15:40~16:10

「自己評価は可能か?―大学生による英語自己評価について」

岩本 典子(慶応義塾大学非常勤)

 教師主体の伝統的な評価方法が主流である現在、学生による自己評価が注目されている。今回の大学生による英語自己評価の調査では、白己評価と期末テストの結果には、0.36の相関関係が見られ、自己評価はある程度正確なことが判明した。次に自己評価の低い学生と期末テストには、0.45という相関関係が出たが、高い学生とテストとは有意な関係になかった。よって、「できる」より「できない」という自己評価の方がより正確なことがわかった。

★16:10~16:40

「ブコウスキーの『町でいちばんの美女』」

永谷万里雄(青山学院大学非常勤)

 アル中の詩人の女性遍歴を綴るこの短編集には本当にいい女ばかり登場する。彼女たちは会話かファッションかセックスのいずれかに抜群のセンスを持っている。いや、詩人はどんな女にも必ず「美」を発見するのだ。彼は自分の人生で出会った女性たちをもとにして、女性の登場人物を作り出すことを大いに楽しんでいる。どの作品でも、他人への思いやりと誠実さと、人生の試練に真っ向から立ち向かう真の勇者の姿勢が認められる。

(※各発表は30分(=研究発表25分+質疑応答5分)です。)

◆16:40~17:00 総 会

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