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第23回年次大会(2013年)実施報告・発表概要

プログラム:

日 時:2013年3月2日(土)12:00~17:00

場 所:東京家政大学10号館(図書館棟)

3階103A教室 受付、総会、シンポジウム、第一会場(英語学)

3階103K教室 第二会場(英米文学)

〒173-8602 東京都板橋区加賀1-18-1 ℡ 03(3961)5226

大会運営委員長:永谷万里雄(青山学院大学非常勤)

開催校委員  :鈴木 繁幸(東京家政大学)

開催校協力委員:渋沢 優介(東京家政大学非常勤)

◆12:00

受付開始

◆12:30~13:40 総 会

司会 常任理事 松倉 信幸(鈴鹿国際大学)

 総会では新年度の役員人事がございます。役員、一般会員を問わず、多くの会員の皆様のご出席をお願い申し上げます。

◆13:50 開会の辞

会 長 藤田 崇夫(浜松学院大学)

◆14:00~15:30

〈北海道支部設立記念シンポジウム〉「非定形節の諸問題」

司会 野村 忠央(北海道教育大学旭川校)

 生成文法の黎明期から今日に至るまで、補文構造、とりわけ非定形節の構造がどのようなものであるかは、生成文法理論の中心課題であり続けてきたと言ってよい。このような理論史も踏まえ、本シンポジウムでは3人の講師が非定形節に関わる様々な問題に焦点を当てる。
 まず、司会者が本シンポジウムの趣旨を簡潔に紹介した後、学校文法で準動詞とも呼ばれる不定詞節、動名詞節、分詞節及び小節や名誉NPなどを含めた非定形節の主語の諸問題について議論する。
 次に、菅野講師がto不定詞補文に関し、時制特性の観点からコントロール補文と繰り上げ補文を区別することは困難であり、to不定詞の時制解釈は主節の語彙特性が主な役割を果たすことを論じる。
 次に、三好講師が特殊なECM構文であるwager-class verbsの不定詞主語の振る舞いに対して、生成文法の極小主義的分析を提案し、その理論的意義を探る。
 その後、休憩を挟んで、最後にフロアーからの質疑応答、コメントを交えながら、全体で議論を進めていきたい。

★「非定形節の主語について」

講師 野村 忠央(北海道教育大学旭川校)

 非定形節の主語にどの格形態が現れるかは多様で興味深い振る舞いを示す。例えば、不定詞節は“I believe {*he/*his/him} to be a genius.”のように対格が、動名詞節は“I can’t imagine {*he/his/him} singing the sonata.”のように属格と対格が、分詞節(分詞構文)は“She being the next of kin, she inherited everything.”のように主格が生起するとされている。しかし、データを注意深く調べると、それほど事情は単純ではなく、非定形節が文頭や文中などのどの位置に生起するか、標準語か方言かなどのどの変種か、あるいは現在許されない格形態でも古い時代の英語では許されていた、などの複雑な要因が存在している。本発表ではこれらのデータや先行研究を整理し、その統一的な説明を探る。

★「to不定詞の時制解釈」

講師 菅野  悟(北海道教育大学旭川校)

 本発表ではto不定詞補文に関し議論する。Martin (2001)以来、繰り上げ補文のto不定詞には時制素性が存在せず、一方、コントロール補文のto不定詞には時制素性が存在すると仮定されている。この仮定により、繰り上げ補文のto不定詞は主節と「同時的」解釈を持ち、コントロール補文のto不定詞は主節より「未来」あるいは「未現実」の解釈を持つと考えられている。しかし、本発表では時制の観点から両者を区別することはできないことを示し、さらに、両方のto不定詞において時制素性が存在しないと論じる。このため、補文のto不定詞の意味解釈は主節動詞の意味特性に依存すると論じる。

★「Wager-class verbsと素性継承: 反一致現象としての考察」

講師 三好 暢博(旭川医科大学)

 言語計算の効率性を追求してきた生成文法理論は、フェイズを単位とした厳密循環型派生計算モデルを仮定する段階にまで精緻化した(Chomsky 2008)。このモデルの根幹を支えるのが素性継承(Inheritance)であり、素性継承の経験的妥当性を検証することは、理論的に重要な論点となる。本発表では、フェイズ主要部に単独で残留したEPP素性は主要部により認可されなくてはならないという制約を提案し、この提案の帰結として、Postal (1974)より問題となってきたwager-class verbsの特異性が導出できることを示す。

(※シンポジウムは90分: 発表75分 質疑応答15分です。)

◆15:50~16:50 研究発表
(※研究発表は30分: 発表25分+質疑応答5分です。)

第一会場(英語学) 10号館(図書館棟)3階103A教室
★15:50~16:20

「headlineにおける名詞由来動詞と意味変化」

渋沢 優介(東京家政大学・東洋大学非常勤)

 英語は語形成能力に優れた言語であり、語形成の発達が英語の語彙、表現をより豊かなものにしてきたといえる。headlineには、書式、読者の意識を惹くためにインパクトを持たせる等の理由から、特徴的な語彙の選択傾向がある。その特徴としては、通常一音節で短い、比喩的用法が中心であることなどが挙げられる。身体部位に関する語彙や、生活道具等生活語彙も多用される傾向にある。本発表では、これらの語彙について、比喩的な使用、意味変化についてその解釈プロセスについて考察を試みる。

★16:20~16:50

「取り立て助詞のVP-scopeに関する考察」

三好 暢博(旭川医科大学)・戸澤 隆広(北見工業大学)

 近年の極小主義計画では、単一サイクルを仮定した非常に制限力の高い統語計算モデルを採用している。この点において、従来のLF移動は理論上存在しないこととなる。本稿では、VP-scopeの「だけ」と「ばかり」の分布の違いが、LF移動の必要性を指示する根拠にはなりえないことを示す。「ばかり」の統語的特異性は、その意味特性に起因していると指摘し、「ばかり」は英語のBinominal eachと類似した性質に着目した代案を提示する。

第二会場(英米文学) 10号館(図書館棟)3階103K教室
★15:50~16:20

「オーガスト・ウィルソンの作品で見られるアフリカン・アメリカンの文化と飲食」

伊勢村定雄(駒澤大学非常勤)

 オーガスト・ウィルソンの作品の中には飲食に関する言及がしばしばなされている。それは、アフリカン・アメリカン特有の歴史的背景とそれから生まれた文化と無縁ではない。過去に彼らが味わった過酷で悲惨な集団としての経験は惨めで、哀れみに値するものであることは否定しようがないが、一方でそれをどう受け止めるのかという最後の自由までをも彼らから奪うことはできなかった。それは、彼らが毎日食べさせられた食事についても言えることである。それ故、彼らなりの文化形成の結果としての食文化は、今でもアフリカン・アメリカンの生活の一部となっている。芝居の中でこうした飲食に関するオーガスト・ウィルソンの言及を、エスニック(ethnic)集団としての問題と、作者であるこの劇作家オーガスト・ウィルソン個人の問題という観点から考察し、それが彼の作品とどのような関係があるのかを明らかにするのが、今回の発表の主旨である。

★16:20~16:50

「『大尉の人形』のパラドクス」

染谷 昌弘(東洋大学非常勤)

 D. H. Lawrenceの短編小説『大尉の人形』には「喜劇性」、「異化」、「パラドクス」といった文学的手法が看取できる。これらの文学的手法によってロレンスは結果として「実在」を表現しようとしたと結論づけることができる。ロレンスは現実が孕む「深い矛盾」を洞察しそれを手掛かりにして「実在」の世界への道を追求している。逆に言えば「深い矛盾」を孕む現代こそ「実在」の世界そのものである。一元的な現代の常識や通念に揺さぶりをかけてロレンスは隠されている「実在」を立ち上がらせている。それはとりもなおさずロレンスの核心的な思想である「他者性」の表現であった。

◆16:50 閉会の辞

閉会の辞

副会長 鈴木 繁幸(東京家政大学)

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