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第27回年次大会(2018年)実施報告・発表概要

プログラム:

日 時:2018年3月3日(土)12:30~17:40

場 所:千葉工業大学新習志野キャンパス7号館

7101教室(大会事務局・役員会会場)

7102教室(総会会場・大会会場)

〒275-0023 千葉県習志野市芝園2-1-1

大会運営委員長:加賀 岳彦(日本女子体育大学)

大会運営委員:岩本 典子(東洋大学)・川﨑 修一(日本赤十字看護大学)
       鴇﨑 敏彦(日本獣医生命科学大学)・松倉 信幸(鈴鹿大学)

開催校委員:相原 直美(千葉工業大学)・渋谷 和郎(千葉工業大学)
      橋本 修一(千葉工業大学)・浜野 志保(千葉工業大学)
      三村 尚央(千葉工業大学)

*11:00より役員会を開催致しますので役員はご出席をお願い申し上げます(7101教室)。

◆12:30 受付開始(7102教室)

◆13:00~13:30 総 会(7102教室)

司会 常任理事 鈴木 繁幸(東京家政大学)

総会では役員、一般会員を問わず、多くの会員の皆様のご出席をお願い申し上げます。

◆13:50 開会の辞(152B教室)

会長 渋谷 和郎(千葉工業大学)

◆14:00~15:30 〈専門領域横断的シンポジウム〉(7102教室)

司会 鴇﨑 敏彦(日本獣医生命科学大学)

「身近だけど説明に困る言語現象-語法・文法・構文などなど-」

企画者・講師 川﨑 修一(日本赤十字看護大学)

 近年、英語系学会のシンポジウムや英語教師向けの参考書のタイトルに「英語学研究の成果を英語教育に活かす」ことを謳うものが少なくない。これは一見喜ばしい潮流にも思えるが、裏を返せば「教育に活かされていない、あるいは活かせない研究」の存在が含意されており、さらには研究と教育の乖離という英語学研究の現状の一端がそこから垣間見られる。実用に直接結びつかない研究の意義を否定するつもりは毛頭ないが、社会貢献を学会および学術研究の意義の一つと考えるならば、その研究成果を教育に還元することが最も明確でかつ健全な社会貢献であろう。
 さて、研究と教育の橋渡し役を買って出る決意を新たにしたところで、どのような現象に関する学問的知見を教育に応用するかという大問題がすぐに立ちはだかってくる。そこで実際に学会や書籍で取り扱われている現象を概観すると、なるほど、言語研究を生業とする言語学徒にとってはどれも大変興味深い現象ばかりである。ただその一方で、説明の理解のためには専門的知識を必要とし、言語研究を専門としない者にとっては難解でとっつきにくいと思われるだけでなく、学習者にとって身近な問題というよりもむしろ極めて「周辺的な」現象を扱っているものも少なくない。これは同様の趣旨のシンポジウムで周辺的な構文を扱った経験のある身として、自戒の念を込めた思いでもある。真の意味での研究成果の教育への還元を目指すのであれば、これらの問題の解消は喫緊の課題であろう。
 そこで本シンポジウムでは、学生・教師双方にとって極めて身近な問題であるにもかかわらず、説明に困るような言語現象をテーマに取り上げ、学問的知見を援用しながら教育における有効な記述・説明の可能性を参加者全員で検討したい。専門分野の垣根を越えた議論が可能なレヴェルの語彙を用いた、忌憚や遠慮など一切介在しない、シンポジウムの原義どおりの学術的「饗宴」にできれば理想である。

テーマ「不定詞」

1.「不定詞が一番教えにくいと思うのは私だけでしょうか?-不定詞を取り巻く諸問題」

講師 川﨑 修一(日本赤十字看護大学)

 本シンポジウムは「単発」なのか、はたまた「シリーズもの」なのかが不明のままの船出である。そこで、不透明な未来は敬意を払って黙殺し、良く言えば一期一会の精神で、悪く言えば企画者の独断で最難関の一つである「不定詞」をテーマとし、シンポジストとして2名の新進気鋭若手研究者を加え計3名で構成した。
 まず企画者から、不定詞をテーマとした背景や不定詞に関する教育上の諸問題について述べる。具体的には、学生が実際に犯した間違いやその要因、用法の区別の曖昧さや意味的なニュアンス、“隠れた制約”などについて検討する。また、実例の中に学校文法の枠組みではうまく説明できない現象が見られることについても指摘する。そして残りの時間が許す限り(質疑応答ではフロアを含めて)解決策について検討したい。

2.「名詞用法の不定詞節について」

講師 佐藤 亮輔(東北大学大学院生)

 学校文法で学ぶ不定詞節の用法の1つに名詞用法がある。しかし、一言に名詞用法と言っても、どの程度「名詞的」であるのか詳しく述べられることはないように思われる。特に、不定詞節が主語位置に生起するTo see Mary was great pleasure.のような文は「不格好」であるとの理由でほとんど言及されず、すぐに形式主語itを用いたIt was great pleasure to see Mary.のような文が教えられる。しかし、「不格好」な文も文法的な文であり、実際に使用されるものである。したがって、これらの事実を知ることは非常に有益であるに違いない。これらの事実は学校文法の盲点であり、理論言語学の成果であると言える。本発表は、理論言語学の成果を学校文法に活かす趣旨の下、名詞用法の不定詞節の振る舞いについて確認し、簡単な説明を与えることを目標とする。

3.「to不定詞の目的用法と文脈」

講師 関田 誠(東海大学非常勤)

 本発表では、to不定詞の副詞的用法の「目的」に関して、実際に教えている教科書の英文を例として挙げ、学校文法を元に比較・検討し、教育現場での「目的用法」の扱い方について議論する。
 文法授業によくある一文単体であれば、「目的」の意味として捉えられる英文でも、文脈や文章の流れ(特に左から右への流れ)を考慮すると、目的ではなく結果や動作の連続として解釈してもよさそうな場合がある。実際に後者の読みは可能であるのか。もしそうならば、その解釈は文脈に依存するのか、それともto不定詞に内在する意味によるものであるのか。そして、その場合、どのようにして教えていくべきかを検討する。

☆コメンテーター 野村 忠央(明海大学)

(※シンポジウムは90分:発表75分+質疑応答15分です。)

◆15:40~17:35 〈研究発表〉(7102教室)

★15:40~16:15

司会 岩本 典子(東洋大学)

「英語教育において音声指導はどうあるべきか」

森景 真紀(北里大学非常勤)

 大学の教養科目としての「英語」を教えていて気になることの一つに、英文の英文意味を正しく理解することができていても、音読は正しくできない学生が多いということがある。そこで、学生たちに英語の音声学習に関するアンケート調査を行うと、そのほとんどが高校卒業までに十分な音声指導を受けていないことがわかった。コミュニケーション重視の指導の重要性が叫ばれる昨今の英語教育において、これは看過できない問題であり、改善策の検討が必要であろう。
 筆者は、2017年度、異なる複数の学科を対象とした「英語」の授業において、主に次のことを試みた。
  (1) 基本的な発音記号の読み方の指導
  (2) 辞書を引く際には、語の意味だけでなく発音・強勢位置も確認させる
  (3) DVD/CDにより正しい音声を提示する
  (4) 知っているはずの語が聞き取れなかったならば、その原因は何かを考えさせる
 本発表では、上記の実践結果報告と、その結果に基づいた音声指導の提案を目的とする。

★16:20~16:55

司会 内藤 麻緒(聖マリアンナ医科大学)

「カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』に描かれる、記憶の記念物の手触りをめぐる考察」

三村 尚央(千葉工業大学)

 カズオ・イシグロはしばしば「記憶の作家」であると形容される。彼自身も数々のインタビューで自分の関心は「記憶の手ざわり」(texture of memory)を作品で再現することだと発言している。だがそれは具体的に何を意味するのだろうか。本報告では作品ごとに異なったイシグロの記憶の表現スタイルの中でも、特に『わたしを離さないで』の思い出の品々(記念物)が果たす役割に注目したい。この作品の多くの部分を占めているのは、語り手キャシーが幼少期を過ごしたヘールシャムと呼ばれる施設をめぐる思い出である。また本作ではカセットテープや友人たちの作った美術品など、それら幸福だった頃へのノスタルジアを象徴的に表わす物品もしばしば登場する。そして我々読者を戸惑わせるのは彼らが時に度の過ぎた熱心さでそれらに執着する姿である。本発表ではこのような物品を通じたイシグロの記憶の戦略の一端を整理して示すことを目指す。

★17:00~17:35

司会 奥井 裕(和光大学非常勤)

「わが国の英語教育の現状と展望」

菊地 喜平(語学研修コンサルタンツ 主宰)

 現在「小学校英語教育学会」に所属して、過去十年間の動きをたどると、文部科学省の提唱する教科化が、スローガン的教義は先行するも、その実践が遅々として進展する様子が具体的形で出現しない。毎年打ち出される構想企画がその論理面ばかりが述べられ、教場に於ける実践展開に於いて画期的教科運営が進行している様子は無い現状である。
 一方、年齢層に関係なくわが国に於いての英語教育自体、これまで軽視されて来た音声言語活動能力達成のための模索がやっと始まったことが挙げられる。この事はA. I.(人口頭脳)開発の面からも、現実に生きた対面対話の必要性が、日本語に限らず、英語学修の分野でも、所謂標準英語“Standard English”に於いてのコミュニケィション能力獲得と云う課題が目前に出現し、加えて、スポーツ科学なる学問が進展した様に、英語教育に於いても、「英語音声表現科学」なる学問も出現する気配も英語教育学会に於いて模索され実践されるべき時期に来ている。この事を実践的に述べたい。

(※研究発表は35分:発表25分+質疑応答10分です。)

◆17:35 閉会の辞

副会長 野村 忠央(明海大学)

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