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第29回年次大会(2020年)開催のご案内

プログラム:

日 時:2020年2月29日(土)12:30~17:45 延期となりました。

場 所:文教大学越谷キャンパス

12号館12102教室(総会会場・大会会場)

12103教室(大会事務局・役員会会場)

〒343-8511 埼玉県越谷市大字南荻島3337

大会運営委員長:加賀 岳彦(日本女子体育大学)

大会運営委員:岩本 典子(東洋大学)・奥井  裕(和光大学非常勤)
       川﨑 修一(日本赤十字看護大学)・佐藤 亮輔(高知大学)
       鴇﨑 敏彦(日本獣医生命科学大学)

開催校委員:野村 忠央(文教大学)・島野 恭平(文教大学文学部英米語英米文学科準備室スタッフ)

◆11:00〜 役員会(12103教室) ※役員の方々はご出席をお願い申し上げます。

◆12:30 受付開始(12102教室)

※一般参加者(本学会の通常会員・学生会員・賛助会員以外)の方は、受付にて一名様につき当日会費500円をお支払いの上ご参加下さいますようお願い申し上げます。

◆12:50~13:15 総 会(12102教室)

司会 顧問 鈴木 繁幸(東京家政大学)

※総会では多くの会員の皆様のご出席をお願い申し上げます。

◆13:20〜13:30 開会の辞(12102教室)

会長 渋谷 和郎(千葉工業大学)

◆13:30〜15:00 〈専門領域横断的シンポジウム〉(12102教室)

「身近だけど説明に困る言語現象―語法・文法・構文などなど2」

司会・企画者 川﨑 修一(日本赤十字看護大学)

 近年、英語系学会のシンポジウムや英語教師向けの参考書のタイトルに「英語学研究の成果を英語教育に活かす」ことを謳うものが少なくない。これは一見喜ばしい潮流にも思えるが、裏を返せば「教育に活かされていない、あるいは活かせない研究」の存在が含意されており、さらには研究と教育の乖離という英語学研究の現状の一端がそこから垣間見られる。実用に直接結びつかない研究の意義を否定するつもりは毛頭ないが、社会貢献を学会および学術研究の意義の一つと考えるならば、その研究成果を教育に還元することが最も明確でかつ健全な社会貢献であろう。
 さて、研究と教育の橋渡し役を買って出る決意を新たにしたところで、どのような現象に関する学問的知見を教育に応用するかという大問題がすぐに立ちはだかってくる。そこで実際に学会や書籍で取り扱われている現象を概観すると、なるほど、言語研究を生業とする言語学徒にとってはどれも大変興味深い現象ばかりである。ただその一方で、説明の理解のためには専門的知識を必要とし、言語研究を専門としない者にとっては難解でとっつきにくいと思われるだけでなく、学習者にとって身近な問題というよりもむしろ極めて「周辺的な」現象を扱っているものも少なくない。これは同様の趣旨のシンポジウムで周辺的な構文を扱った経験のある身として、自戒の念を込めた思いでもある。真の意味での研究成果の教育への還元を目指すのであれば、これらの問題の解消は喫緊の課題であろう。
 そこで本シンポジウムでは、学生・教師双方にとって極めて身近な問題であるにもかかわらず、説明に困るような言語現象をテーマに取り上げ、学問的知見を援用しながら教育における有効な記述・説明の可能性を参加者全員で検討したい。専門分野の垣根を越えた議論が可能なレヴェルの語彙を用いた、忌憚や遠慮など一切介在しない、シンポジウムの原義どおりの学術的「饗宴」にできれば理想である。

テーマ「ING形」

★「由来から考える英語の進行形の用法」

講師 島野 恭平(文教大学文学部英米語英米文学科準備室スタッフ)

 学校教育では英語の進行形はbe動詞+動詞の現在分詞形で表わされると教えられる。では、なぜそのような形をとるのか。その問いに答えるため、進行形の起源まで遡ることとする。現代英語の進行形の起源は、「be動詞+現在分詞」だとする説と、「be動詞+on+-ing (動名詞)」だとする説が存在する。後者がより有力とされ、onが消滅した結果、現代の形が生まれたと言われている。この説が正しいとすれば、進行形を表わすために使われている動詞のing形は動名詞由来だといえる。
 本発表では、様々な進行形の用例を提示し、-ing形が動名詞であると捉えながら、意味的観点からの説明を試みる。同時に、実際の授業で使用可能な説明を探る。なお、提示する用例は一般参考書や映画・ドラマなどから抜粋する。

★「派生名詞と動名詞の文法上の類似点・相違点と接辞の意味」

講師 佐藤 亮輔(高知大学)

 中学校・高等学校・大学の英語の授業では、句・節・文といった「大きな」単位の文法を扱う機会は多いが、派生名詞や動名詞といった語という「小さな」単位の文法を扱う機会は少ない。特に、動名詞は「準動詞」として不定詞や分詞とまとめて扱われることがあるが、destructionのような派生名詞とdestroyingのような動名詞との類似点や相違点について言及されることは少ないように思われる。しかし、発表者の経験上、学習者にとっては興味深い学習対象の一つであると考えられる。というのも、発表者も実際に英語の授業で学生からしばしばこの類似点と相違点について尋ねられることがあるためである。本発表の目的は、こうした学習者の素朴な疑問の一つである派生名詞と動名詞の類似点と相違点を統語・意味の両観点から解説することである。なお、本発表の説明はこれまでの生成文法研究の成果に基づくものであるが、専門用語は極力排し、また必要な場合も丁寧な解説を付け加えることで、専門外の聴者にとっても学校文法の知識のみで理解できるよう配慮する。

★「名詞とING―主述か修飾か―」

講師 関田  誠(東海大学非常勤)

 一般的に「名詞+ING」が構成する要素には2つの解釈が考えられる。主述関係になる場合と後置修飾関係になる場合である。例えば、the boy running to the stationにおいて前者は「男の子が駅の方へ走る」となり、後者は「駅の方へ走る男の子」となる。英語の一般的な学習参考書を見る限り、個別の用法は説明されているが、どちらの解釈になるかの基準は明確ではない。
 本発表では、動詞及び前置詞の目的語位置における「名詞+ING」と2つの解釈に焦点を当て、どのような制約の下どちらの解釈が優先されるかを調査し、比較・検討する。その上で意味的・文法的観点から包括的な説明を試みる。さらに実際の授業で使用可能な分かり易い説明を探る。なお、扱う英文はなるべく一般参考書や教科書などから抜粋する。

☆コメンテーター 野村 忠央(文教大学)

(※シンポジウムは90分:発表75分+質疑応答15分です。)

◆15:05~17:40 〈研究発表〉(12102教室)

(※発表時間は35分:発表25分+質疑応答10分です。)

★15:05~15:40

司会 佐藤 亮輔(高知大学)

「名詞句内省略における残余要素について」

鈴木 舞彩(東北大学大学院生)

 英語では、The students attended the party but [six ø] left disappointed.(Lobeck 1995)のように、名詞句の一部が省略可能である。名詞句内省略では、所有句、数量詞、形容詞などの修飾要素が残余要素となることができるが、Corver and van Koppen (2009)によると、形容詞はそれに対比焦点が置かれる場合にのみ残余要素となることができる。本発表は、英語の名詞句の構造を示した上で、所有句、数量詞、形容詞それぞれの構造的な位置が、残余要素として生起できる環境を決定していると主張する。具体的には、(i)焦点を持たない場合、(ii)情報焦点を持つ場合、(iii)対比焦点を持つ場合の3種類の環境において、構造的に高い位置に生じる修飾要素はすべての環境で残余要素になることが可能である。一方、構造的に低い位置に生じる修飾要素はその環境が制限される。

★15:45~16:20

司会 鴇﨑 敏彦(日本獣医生命科学大学)

「シェリダン作品にみられる定型表現の分析―I dare sayの使用について―」

吉田 明子(東洋大学非常勤)

 現代英語(Present-day English)では通常、助動詞dareを肯定文で用いるのは認められていない。しかし、例外としてI dare say(あるいはI daresay)という定型表現に限り、肯定文での使用が認められている。この定型表現は、OEDによると、「あえて言う」あるいは「たぶん、おそらく」という意味で、挿入句として用いるのがほとんどである。CLMET(Corpus of Late Modern English Texts)によると、I dare sayの使用頻度は、18世紀後半から19世紀半ばにピークを迎え、現代英語では大幅に減少している。
 本発表では、18世紀に活躍した劇作家シェリダン(1751-1816)の作品に現れるI dare sayと、同じくdareを用いた定型表現であるI dare swearの使用について、CLMETなどのコーパスも利用しつつ、分析を試みたい。

★16:25~17:00

司会 内藤 麻緒(聖マリアンナ医科大学)

「Mourning Becomes Williams:「喪の劇」としての『熱いトタン屋根の上の猫』」

相原 直美(千葉工業大学)

 20世紀アメリカを代表する劇作家テネシー・ウィリアムズの中期の代表作『熱いトタン屋根の上の猫』(Cat on a Hot Tin Roof, 1955)には二種類の第三幕―すなわち二種類のエンディング―が存在する。一つはウィリアムズによる「オリジナル版」であり、もう一つはこの三幕劇をブロードウェイで上演するにあたり、演出家エリア・カザンが提示した大幅な修正要請をもとにウィリアムズ自身が書き直した「上演版」である。この「上演版」が結果的にブロードウェイで大ヒットを収め、ウィリアムズに二度目のピュリッツァー賞をもたらしたという意味で、カザンの要請は的を射たものだったと言えよう。しかし、その後、ウィリアムズはこの戯曲を出版するにあたって「オリジナル版」が「上演版」に引けを取らない出来であることを主張するかの如く、二種類の第三幕を併載する。この二種類の第三幕は劇作家と演出家の意図の差異を、互いが火花を散らすように照射しあっている。本発表では、この二つの第三幕を比較検討しつつ、ウィリアムズによる「オリジナル版」の『熱いトタン屋根の上の猫』を「喪の劇」として捉えなおし、その現代性に光を当ててみたい。

★17:05~17:40

司会 女鹿 喜治(桐生大学)

「英語の仮定法倒置の起源は何か」

発表者 村上まどか(実践女子大学)

 英語の仮定法過去構文は、ifを伴わずに倒置することがある。
 (1) Were I rich, I would buy that cottage.
野村(2019)は、この倒置が(2a)から生じた疑問文起源説と、(2b)から生じた祈願文起源説を詳細に比較検討し、祈願文起源説に軍配を挙げようとしている:
 (2) a. Am I rich? If so, I would buy that cottage.
   b. Were I rich!
 他方、従属節において条件を表す構文には命令法もある。語用論的に、自分の状態を自分に命令するのは(3)のように苦しい:
 (3) ?*Be rich, I would buy that cottage.
けれども仮定法過去の条件節としては、(4)のように命令文も充分に可能である:
 (4) Don’t visit them too early, they wouldn’t be ready.
しかも助動詞doと主語が現れる命令文(5a)は、Potsdam (2017)によって、疑問文(5b)との類似性が指摘され、構文的に同等であると検証されている:
 (5) a. Don’t you help them!
   b. Don’t you help them?
 本発表では仮定法過去の倒置の起源を、疑問文・祈願文のみならず、命令文も可能性に含めて検証し、結論をくだそうという試みである。

◆17:40〜17:45 閉会の辞(12102教室)

副会長・開催校委員 野村 忠央(文教大学)

《大会運営委員会より》

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