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第1回北海道支部大会(2013年)実施報告・発表概要

日 時:第1日目 2013年8月17日(土)13:20~17:20
    第2日目 2013年8月18日(日)11:00~14:50

場 所:北海道教育大学旭川校 一般教育棟P202教室
    〒070-8621 北海道旭川市北門町9丁目

北海道支部大会運営委員:江本 博昭(旭川医科大学)
           :菅野  悟(北海道教育大学旭川校)

開催校委員:野村 忠央(北海道教育大学旭川校)

プログラム:


第1日目 8月17日(土)

◆13:20 開会の辞

北海道支部長 野村 忠央(北海道教育大学旭川校)

◆13:30~16:50 〈研究発表〉
(※研究発表は50分:発表35分+質疑応答15分です。)

★13:30~14:20司会 菅野  悟(北海道教育大学旭川校)

「英語における縮約関係節の統語論」

戸澤 隆広(北見工業大学)

 最近のミニマリスト・プログラムの枠組みでは、移動要素であっても、それが主要部ならば、移動先で投射できる(Donati(2006))。この投射様式は論理的には可能であるが、その経験的検証は十分には行われていない。ラベル決定のメカニズムの解明に向けて、当該の投射様式の経験的検証を行うことは重要である。本発表では、縮約関係節の派生には、移動要素の投射が関与すると主張し、Bhatt(1999)の縮約関係節の分析の路線が妥当であることを示す。縮約関係節の主要部繰り上げ分析により、これまで注目されてこなかった関係節と縮約関係節の様々な統語的振る舞いの違いに説明が与えられることを示す。

★14:20~15:10司会 三好 暢博(旭川医科大学)

「法助動詞否定の句構造と普遍性について」

野村 忠央(北海道教育大学旭川校)

 法助動詞の否定に法性否定(Modal Negation)と命題否定(Propositional Negation)があるのは周知のことだが、その句構造をどう捉え、これらの作用域関係をどう派生させるかについては議論の分かれるところである。また関連して、法助動詞句(ModalP)の措定、法助動詞の範疇素性、二重(多重)助動詞などの重要かつ基本的な問題も、実は、英語個別言語か言語普遍かのどちらの立場に立って理論構築するかによって、大きく捉え方が変わってくる。
 本発表ではこれらの諸問題、先行研究を整理し、妥当な解決策を探りたい。

◆15:10~15:20 休 憩

◆15:20~17:20 〈特別講演〉
(※特別講演は120分:発表100分+質疑応答20分です。)
司会 野村 忠央(北海道教育大学旭川校)

“Organization of Grammar, In-Situ Operator Variable Constructions and Elimination of PF Deletion and LF Copying(along with Many Related Things)”

講師 外池 滋生 先生(青山学院大学)

 文法の構成については、Chomsky(2008)“On Phases”の枠組みの問題点(Inheritance, Countercyclicity, Head Movement, EPP)を克服する代案として、Excorporationを提案する。
 移動(Move=内部併合Internal Merge)について、必ず音声を伴わなければならないとする顕在的統語論仮説(Overt Syntax Hypothesis: OSH)を提案し、これにより排除されるQRのような非顕在的操作を用いなくとも、数量詞作用域の現象が正しく捉えられることを示す。
 Gapping, Right Node Raising, Sluicingなどの省略現象については、PF部門における削除を用いるか、LFにおけるコピーを用いるというのが現在提案されている分析である。現在の理論において不可欠な操作はMergeとAgreeであるが、削除という操作が必要であるかどうかは明らかではない。また、LFにおけるコピーというのは音声を伴わない内部併合であるから、OSHに違反する。そこで、PF削除も、LFコピーも用いない代案を提案する。その際に必要な理論上の改新として、複数の構造が構成素を共有する多重構造を派生の過程において想定することを提案する。(この結果、Bošković(2011)などが用いているrescue by PF deletionという説明は排除されることになる。)
 最後に、このExcorporationの枠組みを日本語にあてはめると、日本語が英語の右枝分かれ構造と鏡像関係にある左枝分かれ構造であると考えなければならないことを示す。その際に英語と日本語の格付与のあり方に関して、英語はAgreeにより、日本語はMergeによるとするSaito(2012)の主張とは逆に、英語はMergeに基づき、日本語はAgreeに基づくとする分析を提案する。
 最後に時間があれば、Chomsky(2013)についても、Labeling Algorithmは誤った予測を生む事を指摘する。

◇18:00~ 懇親会
 第1日目終了後、懇親会を予定しております。どうぞお気軽にご参加下さい。


第2日目 8月18日(日)

◆11:00~11:50 〈研究発表〉

★11:00~11:50司会 菅野  悟(北海道教育大学旭川校)

Bakari as a Positive Polarity Item: Anti-licensing and Rescuing”

三好 暢博(旭川医科大学)

 先行研究において、とりたて助詞「ばかり」が否定辞と共起すると、容認度が低下する環境が存在することが指摘されてきた。

 (1) ??弟ばかりをかわいがらない。(Sadanobu 2003: 151)
 しかし、どのような環境可で容認度が低下し、どのような環境下で容認可能となるかという問題については、包括的な分析は存在しない。本発表では、「ばかり」が肯定対極表現(Positive Polarity Item)であるという主張から、「ばかり」の分布が正しく予測できることを示す。

◆11:50~13:20 休 憩

◆13:20~14:00 北海道支部大会総会司会 北海道支部幹事 戸澤 隆広(北見工業大学)

 役員、一般会員を問わず、多くの会員の皆様のご出席をお願い申し上げます。

◆14:00~14:50 〈研究発表〉

★14:00~14:50司会 戸澤 隆広(北見工業大学)

「言語の変化と言語外の要因」

菅野  悟(北海道教育大学旭川校)

 本発表では、統語的、形態的、音韻的な言語の変化を取り上げる。言語の変化に対しては多くの研究がなされ、現在の生成文法においても重要なテーマであることは広く認識されている(外池(2009))。一般的に、言語の変化は循環的に生じると考えられている(Crowley and Bowern(2010))。しかし、ゲルマン語系の言語を観察すると言語は形態論的に単純化することのみが観察される。また、語順に関しても、固定化への変化がみられ、その逆は、ほとんど観察されない。また、ゲルマン語系以外の言語では、能格タイプから対格タイプへの変化は比較的多く観察される。これらの言語現象を通し、言語の変化が一方向的であるかどうかを論じる。また、言語の変化に対し、言語機能はどこまでを決定し、言語外の要因がどれほど関与するのかを論じる。

◆14:50 閉会の辞

北海道支部副支部長 三好 暢博(旭川医科大学)


◇北海道教育大学旭川校までのアクセス

http://www.asa.hokkyodai.ac.jp/intro/access.htmlもご参照下さい。

◇その他、ご不明の点などございましたら、野村忠央(開催校委員)までご連絡下さい。多数のみなさまのご参加をお待ち致しております。

※大会当日、諸事情により、一部、プログラムの変更がありました。

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